中国地方建設業「2024年問題」
投稿日:2024.05.15
人手不足で工事の遅れを懸念
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■本年度4月より時間外労働(残業)の上限規制が今月、建設業でも始まりました。
人手が不足して工事の遅れにつながる恐れもある「2024年問題」に、これまでも工期や天候の影響を受けてきた中国地方の業界から懸念の声が上がっています。
■一方、勤務時間を柔軟に選べる制度や新入社員の週休3日制の導入など、人手の定着へ変革の兆しも垣間見えます。
発注者も巻き込み、業界全体で働き方を改善する取り組みが欠かせなくなっています。
■「会社から遠い現場への移動は時間外扱いにしている。上限規制はなじまない」。
コンクリートで建物の基礎などを造る地場企業の社長は仰っています。
■残業を減らすには人を増やすしかないと考え、通年で採用活動をしていますが、従業員が10人を超えたことがないといいます。
残業規制は働き方改革関連法に盛り込まれ、大企業では19年に始まりました。
■建設業は仕事の特性などを踏まえて5年間猶予されてきたが、今月から自動車運転業や医師などともに対象としました。
■新型コロナウイルス禍を挟むこの5年間で、人手不足をはじめとする業界の課題はむしろ深刻化。
東京商工リサーチによると、
▶23年の建設業の倒産件数は全国で1693件と前年から41・8%増。
▶中国地方は38・9%増の75件となりました。
原因として人手不足や資材費の高騰などが絡んでいます。
各社は働き手を引き寄せ、つなぎ留める手法を競っています。
■橋の建設などの某企業では昨年6月、勤務時間をある程度選べる制度を本社の内勤部門に導入。
その後、半年ほどで工事現場や全国4支店など全職場に広げられました。
社員の約5割が内勤利用しています。
■その他某現場事務所では70歳を超える定年延長や、他社を退職した人材の採用に取り組んだり、ITで業務の省力化も進めてきました。
同現場事務所社長は「残業規制への対応だけでなく、働きやすい会社であり続けることが重要だ」としています。
■また、某別企業では新入社員を週休3日としています。
社員の熱中症を防ぐための空調機能付き作業服のファンは毎年更新し、休憩時間にも配慮、離職を防ぐ試み。
仕事に慣れる2年目以降は週休2日を選ぶ社員が多いとしています。
「職人は自分の腕で仕事に向き合い、稼ぐことに喜びを感じる」と同社長は社員の思いを語られています。
生き生きと働ける現場をどう実現するか。
国は賃金の引き上げや、長時間労働の是正などに向けて関連法の改正を目指す。
「業界全体で考える時期にきている」と同社長。
柔軟な工期や工事費など、発注者も含めた意識の転換が必要になるようです。
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